ADPC SUPPORTERS

我々が記録した愛知県防災航空隊の活動(主に訓練)を写真で紹介しています。

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平成26年10月28日 知多市・隊員投入訓練/夜間離着陸訓練 その1  

投稿者:進藤(ADPC SUPPORTERS)


平成26年夏以降の訓練第2弾は、平成26年10月28日に新舞子マリンパークで行われた、知多市・隊員投入訓練/夜間離着陸訓練をお届けします。
今回の記事は細かな部分にも触れていきますので、記事を3つに分割します。最後までお付き合いくださいませ。


261028知多01

今回の会場である新舞子マリンパークは、港湾の環境整備を図るために名古屋港南5区埋立地(愛知県知多市)の一部を整備し、平成26年4月にオープンした人工島の公園です。夏には多くの海水浴客らが訪れる公園であり、平成22年6月には第4回緊急消防援助隊全国合同訓練の場外離着陸場にも使用された場所です。写真奥に見える丘に航空指揮所が設置されていたので、記憶にある航空隊OBさんも多いのではないでしょうか。


261028知多02

場外離着陸場の北東側に現場指揮本部を設置。
会場へ向かう防災ヘリわかしゃちに現場の気象状況等を送信していきます。

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15:25わかしゃち着陸。レフト側ドアから身を乗り出し安全確認を行うのはHRT隊長。

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整列する知多市消防本部の隊員と防災航空隊員(左翼2列)
責任者からの示達等を受けます。


261028知多04

訓練開始前に、投入される地元隊員の「スタイルチェック」を行います。
ヘルメットやゴーグル、ハーネス等の着装状況を確認していきます。地上の消防隊員は通常胸に階級章をつけていますが、ヘリに乗る際は取り外します。上空で外れた際にエンジンへ吸い込む等のおそれがあるからです。また、ポケットは閉まっているか、落下するおそれのあるものを身につけていないかを点検していきます。
点検を行うのはSUK隊員とKWI隊員。



"隊員投入訓練とは"

さて、今回行われる「隊員投入」とは何でしょうか。
山岳救助現場などにおいては、地元消防本部の隊員を現場に効果的に送り込むため、防災ヘリに当該隊員を搭乗させて現場に降下させる方式がとられる場合がありますが、地元隊員を単独で降下させるわけにはいきません。そのため防災航空隊員が地元消防隊員とともに降下し、地元隊員を現場に送り込む、これが「隊員投入」と呼ばれるものです。
防災航空隊員は地元消防隊員を安全に降下させること、地元消防隊員は安全に降下した後に現場で活動をすることがまずもっての目的です。



"実機シミュレーション訓練の実施"

投入される地元消防隊員も、年間に何度も実機からの降下訓練を行っているわけではありません。そのため、まずは地上に駐機した機体を用いてのシミュレーション訓練が行われます。
防災航空隊員以外の方々は、上空の機内でどのようなやり取りが行われているか、降下時にどのような注意をしながら行っているかを目にする機会はほとんどないといってもよいでしょう。防災ヘリに興味がある方でもなかなか知らない世界ではないでしょうか。きょうはその一部を掲載します。上空の機内でどのようなやり取りがあり、動作にどのような意味があるのかご覧ください。


メンバー OP:KWI隊員 L:HRT隊長 R:MTU副隊長 説明:SUK隊員

261028知多06

「集まれ」 
右手を右側頭上でクルクル回すのが集まれのサイン。エンジンがかかっているヘリは音が大きく隊員間の会話も聞こえづらくなります。そのため様々なハンドサインが用いられます。
搭乗する隊員が機体3時方向に整列しました。


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機長から搭乗OKのサインが出ました。まずはOPが機体へ近づき、点検を行います。


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OP「機外突起物確認」・・・「突起物なし」

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「機内飛散物確認」・・・「機内飛散物なし」 「ドアオープン」
ライト側スライドドアが開かれます。


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ドアオープンが完了し、OPが搭乗する隊員に搭乗のサインを送ります。


261028知多11

実際はローターが頭上で回っているので、姿勢を低くして乗り込みます。機内に乗り込むとそれぞれの隊員がカラビナとスリングを用いて、落下防止のための「自己確保」を設定します。
隊員が搭乗する間にOPは機体下の確認を行い、その後自己確保を設定し搭乗します。

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OPが「目で点検しろ」のサインを送ります。それぞれの隊員が自己確保が正しく設定されているか二重に点検します。

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「R、隊員投入、機内準備」
スリングやヘッドセット(インカム)などを準備します。


261028知多16

「機内準備完了、ヘリテイクオフ願います」

OPが機長に機内の準備が完了した旨を伝えます。実際ですと機長がこれを聞いて地上誘導員に離陸の合図を送り、ヘリが離陸していきます。


261028知多17

「テールクリア、上空クリア、ヘリアップ」
OPが後部や上空の安全確認を行います。写真では機体下を覗き込んでいますが、これはヘリが離陸した瞬間に機体下部に異常がないか確認しているものです。
「スキッド離れた」「テールクリア、前方クリア、ヘリ離脱」「ドアクローズ」
安全が確認され、無事に離陸したらドアが閉められます。(このシミュレーション訓練では開けたまま)


現場上空に到着したという想定で訓練が進みます。
「それでは訓練のブリーフィングを実施します。R2名による消防隊2名の投入を実施していきます・・・」
活動前には必ずブリーフィングを行い、隊員間の意思疎通を図ります。ここで降下ポイントの確認なども行われます。


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機長と進入方向の確認を行います。航空隊員が自身の腕時計に装着されたコンパスを見て、機長が宣言した進入方向を確認しています。ここでは北東から進入という想定です。
「北東進入了解!高度にあっては100フィート、距離読みは直上までオペにて実施。それでは進入願います!」

いよいよ進入。ダウンウィンドに入りました。
「ダウンウィンド了解。機内飛散物確認。」
ドアをオープンする前に機内に飛散物がないか確認します。
「機内飛散物なし、R、ジャック付け替え、消防隊、ヘッドセット取り外し。ホイストパワーON願います」

愛知県防災航空隊では可搬式の補助バッテリーを保有しているため、エンジン停止時であってもそのバッテリーを接続することによりホイストを使用することが可能です。

261028知多54

これがそのバッテリー。エンジン始動時にも使用します。
東日本大震災派遣時にも活躍した資機材です。


261028知多53

導入前はこのようにスリングを使って訓練していました。

さて続きに戻りましょう。


ホイストやRの無線チェックも終了し、いよいよファイナルです。
機長からドアオープンの許可がでました。スライドドアをオープンします。
OPがスキッドに足をかけて身を乗り出し、機外の安全確認等を行います。


「オープン完了。テールクリア、前方クリア、オンコース、目標まで100!ホイストダウン!」

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ホイストを伸ばし、R及び投入隊員のカラビナをホイストのフックにかけていきます。
その間にもOPは目標までの距離読みを実施します。
目標地点がヘリ直下になるため、進入のある点を越えるとパイロットからは目標が死角に入り目視できなくなります。そのためOPの距離読みがヘリを目標直上に停止させるために重要となるのです。

「50・・・・・・・30・・・・・20・・・10・・5・・3・2・1・ストーーーップ!!」
「テール、ライトクリア!機長この位置ホールド!」
機長「ホバリングよし!」

目標(降下地点)上空でのホバリングが完了しました。隊員の降下を開始します。

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「R、消防隊、自確切る!」
R及び投入隊員の自己確保が解かれました。
「R機外出す」

261028知多24

ホイストを巻き上げ、R及び投入隊員を機外に引き出します。

261028知多30

安全な降下を行うには、投入される隊員は4つの「S」を守る必要があります。

①スリングを握る:スリングをしっかり握り、上体を起こすようにします。

②ステップに乗らない:機外へ出る際にステップに足をかけると、隙間に足を挟む等の危険があります。

③姿勢:一本の棒のようになります。足を前に出したりすると、ダウンウォッシュの影響を受けてしまいます。

④しっかりとした着地:着地の際は足を前後に広げ、ショックを吸収します。

隊員によって説明の仕方に違いはありますが、この「4つのS」は15期生のISI副隊長の説明にありました。


261028知多55

この写真は以前行われた隊員投入訓練のもの。
投入隊員が足を前に出すような姿勢になっています。
これだと出した足にダウンウォッシュがあたり、回転等してしまう原因となります。



さて、Rと投入隊員は降下を続けていきます。
ホイスト降下時のヘリの高度は基本100フィート、約30メートルです。


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R「ファイブ!・・・スリー、停止!」
地上3メートルでいったんホイストを停止します。

261028知多27

降下する場所に異常がないか確認します。ホイスト操作は機上のOPがリモコンで操作しているため、Rは大きな動作で「ホイスト停止」の合図を送るとともに、無線でその旨を伝えます。(無線は声を出すと自動で送信が開始される機構(いわゆるVOX機能)であるため、Rは無線を操作する必要がありません)
安全が確認できたら降下を再開します。

「オッケー!ダウン!」 「ツー・・・ワン・・・着地!」

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無事に着地しました。
Rはホイスト停止の合図を送り、ホイストが停止したらカラビナを取り外します。
このとき投入隊員は低い姿勢で待機しています。


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「オッケー!アップ!」
カラビナの取り外しが完了しました。Rはホイストアップの合図を送ります。
ホイストがRの手元から離れたら、Rと投入隊員は3時方向に離脱していきます。



261028知多30

ホイストを巻き上げ、もう1名の隊員を投入します。
手順は先ほどと同じです。


261028知多31

2名の隊員の投入が終わると、ホイストを収納し、ヘリは離脱していきます。


"重力に逆らって浮くということ"

いかがでしたでしょうか。
実際にはもっと多くの言葉が使われ、確認動作が行われています。
地上からヘリを眺めていると、「おお、降りてきたー」くらいの感想しか持たないものですが、こうして上空のヘリ機内で何が行われているのか、降下隊員がどのような注意を払っているのかを知ると、今までとはまた違った視点でヘリからの降下を見ることができるのではないでしょうか。

ご存知のとおり、ヘリは重力に逆らって空を飛ぶ乗り物です。そして地上30メートルで機外に身を乗り出し作業をし、ワイヤー1本で降下していく。たいへんな危険が伴う作業であることに間違いありません。
しかし危険だからといって行わないわけにはいきません。「危険な作業を安全に行う」ことが求められるのです。そのために様々な確認を行い、小さなルールも確実に守り、事故のないよう作業を実施していくのです。
スタイルチェックの際に数センチしかない階級章にまで気を遣っていましたよね。空を飛んで救助活動を行うということは、それだけ気を遣わないと安全に事を遂行できない世界なのです。

そしてこのような活動を安全に遂行するためには、日頃からの訓練が必要不可欠です。
ヘリは大きな音がしますから、訓練会場付近から騒音苦情が寄せられることもあります。また、公園等を封鎖して訓練を行うので、利用者等には不便をかけることとなってしまいます。
しかしそれが何のために行われているのか???すべてはいざというときに大切な命を救うためです。
県民の皆様の防災ヘリに関する理解が少しでも深まるよう、この記事を発信しています。


隊員投入シミュレーション編はここまでです。
次回は実際の投入の様子を見ていきましょう!


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category: 平成26年度(2014)の訓練

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コメント

こんばんは。
記録活動ご苦労様です。

私も長年記録活動を行ってきましたが、ここまで詳細な訓練状況を記録したことがありませんでした。脱帽です。

以前、地上での訓練に参加させて頂いたときに、確かにこのような手順で繰り返し訓練を行っていた事を思い出します。年々救助活動の研究が進みレベルが向上しているのでしょうが、危険な仕事をいかに安全に行うのかが、彼らの課題でしょうし、そのための訓練を日々欠かさず行っていることへの理解活動としてのサポートができればと思っています。

私たちの安全を空から守ってくれている彼ら、愛知県防災航空隊の皆さんに、改めて敬礼します。

URL | heli-boy #Gzo7CIQM
2015/01/30 20:43 | edit

heli-boyさん

いつもご覧頂きありがとうございます。
今回はかなり詳しく記事を作成してみました。
以前heli-boyさんから言われた「かっこいい部分ばかりを撮るのではなく、良いところ悪いところすべて撮るのが記録である」という言葉を心に刻み、記録を続けております。

現在では井手之上が静止画担当、私が動画担当と分担をしている現在、動画の特性を生かし、「1から10まで絶え間なく記録する」というのが私の任務であると思っております。昨年からカメラをデジタルビデオに変更したこともあり、後で好きな場面を静止画にキャプチャーすることも容易となりました。(キャプチャーはあくまでキャプチャーの品質ではありますが・・・)

へりから隊員が降下する場面というのはよく見る(いまは動画サイトなどもありますし)ものですが、降下のために何をやっているのかというのはほとんどの方が知らないことです。そこをクローズアップしていくことにより、防災ヘリの運行に関する理解が深まるのかなというのが私の想いです。
見ていてカッコいい部分もやはりいいものですが、細かな所作を「なぜ?」「なんのために?」と考えるのがけっこう好きだったりもします。隊員の位置取りやカラビナのかけ方ひとつとっても意味があり、そういった細かな部分を今後も取り上げることができたらいいなと思います。(“絵になる”写真は井手之上に任せます。。。)

さて例の「夜間訓練」もございます。
我らが師匠heli-boyさんとお会いするのも随分久しぶりですので楽しみにしております。
そして、日々県民の安全を守る航空隊員に再度敬意を表したいと思います。

URL | 進藤(ADPC SUPPORTERS) #-
2015/02/05 21:34 | edit

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